ごあいさつ|下肢静脈瘤専門の日帰り手術・お茶の水血管外科クリニック

ごあいさつ
顧問:岩井武尚 写真
顧問:岩井武尚
日本静脈学会理事長
東京医科歯科大学名誉教授
慶友会つくば血管センター長
認定NPO法人 バージャー病研究所長(茨城県守谷市)
これからの診断・診察・治療の取り組みについて
みなさんお元気ですか?
また、まだ診療を受けたことのないみなさんを含めてご挨拶したいと思います。

血管の病気は、大きく分けて動脈の病気、静脈の病気、リンパ管の病気に分けられます。破裂する動脈瘤やだるい・重い下肢静脈瘤、強いむくみのリンパ浮腫などが代表ですが、それらは私たちが扱う病気のほんの一部です。血管は、全身にくまなく張り巡らされているため、実際は守備範囲が広いのです。ざっと数えてみても30くらいの大きな病気がありますし、その状況からさらに分けると100位の病名が浮かんできます。
診断
診断方法は、ここ10年20年で大きく変わってきました。簡単にいえば痛くない検査へと進化してきたのです。 動脈の病気には、CTやMRIが最終診断に使われますし、それまでの診断補助として超音波が欠かせなくなりました。 静脈には、CTやMRIももちろん使われますが、超音波診断が不可欠と成ってきました。超音波では、静脈の画像だけでなく、流速や血栓の性状までもわかります。 リンパ管の異常は、核医学を使った方法や最近では色素を特殊な赤外線で画像化する方法などが試みられています。

どんなにいい器械があっても診断する専門的な眼がなければ役に立ちません。ここのクリニックでは、CT,MRIは近くの画像センターに撮影の要点を記してお願いしていますが、超音波に関しては優秀なスタッフを揃えて対処しております。
また、どのくらい困っているのかといった機能診断にも力を入れています。
動脈も静脈も、詰まったら終わりではないのです。かわりの血管が、次々と出来てきます。
超音波診断
診察について
診察
診察は、このクリニックの重要部分です。患者さん一人が、ひとつの病気を持っているわけではありません。年をとれば、3つ4つは当たり前です。 高血圧に、大動脈瘤、逆流性食道炎、痛風予備軍などというのはよくあるパターンです。それらが全てつながって一つの病気から派生している場合もあるし、別々のこともあります。 こころの病気とつながっている場合もあります。そんなことから、総合的に病気と向き合うのがわれわれの特徴といえるでしょう。
治療
治療は、血管診療の中核です。
正しい診断、ゆとりある診察、そして血管の病気に向き合ってきた長い診療経験を生かして治療方針を打ち立てます。
血管の病気では、観察が時に重要です。ここでは緊急疾患や悪性疾患は、主流ではないからです。タイミングがさらに要求されます。
どこをどこまで治すか?これもまた重要なポイントなのです。悪いからと言って血管の全取っ替えはないのです。健康で不安のない生活、動けて明日が楽しみな生活が、治療の予測効果としてはじき出されるのです。
クリニックでの顧問としての存在では、大きな手術、中くらいの手術、血管内治療などは、よく知っている名人医者や自分が監督できる病院に紹介します。いろいろなところに弟子は育っているのです。
病気とうまく付き合う!スキーを楽しむ患者さん
血管の病気
いろいろな病気
ここで長年血管外科医として診断、診察、治療をしてきたそのほかの病気を紹介しましょう。難しい名前もありますが、イメージだけわかればそれでよいと思いますので、聞き(?)流して下さい。
内頸動脈狭窄、頸動脈瘤、胸郭出口症候群、レイノー病(症候群)、高安病、四肢や体幹の動静脈奇形、小指球ハンマー症候群、クリッペルトレノウナイ症候群、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、腎動脈瘤、腎血管性高血圧、種々の腸管虚血、高位大動脈閉塞、下大静脈腫瘍血栓症、腸骨動脈瘤、腸骨静脈圧迫症候群、腸骨動脈閉塞症、大腿動脈閉塞症、膝窩動脈瘤、膝窩動脈捕捉症候群、同静脈捕捉症候群、外膜嚢腫、ブルートウ症候群、重症虚血肢などなどです。
これらの病気は、ときに鑑別診断上大切になります。
頸動脈瘤を超音波で見ると
バージャー病…と認定NPO法人東京支部紹介
最後に、いままでに書いてない血管の分野で非常に重要な病気についてお話しします。それはバージャー(ビュルガー)病です。
厚労省指定の難病ですが、私は茨城県守谷市にある慶友会つくば血管センターに併設している認定NPO法人バージャー病研究所所長も兼任しています。距離や時間を考えると、情報交換の場として、このお茶の水血管外科クリニックも東京支部として機能させたいと考えています。現在通院されている患者さんはもちろん、これから相談を受ける方も東京地方の拠点としてご利用頂きたいと思います。
また、BANN(バージャー病オール日本ネットワーク)を立ち上げていますので、全国規模で情報交換を進めていきたいと思います。
パージャー病の原因のひとつは歯周病
バージャー病とは…
バージャー病は、50歳以下の喫煙者におこる四肢の末梢動脈の閉塞です。突然発症して強い痛みを生じ、ついに切断に至ることが多いことから特発性脱疽として恐れられてきました。若者に多いことと、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、また高血圧がないのが診断の決め手です。 20世紀初頭から病因としていろいろな説が出ましたが、ほとんどが否定されました。そんな中2005年私たちが歯学部歯周病学科の先生方と共同研究して発見した歯周病菌病因説が大きく報道されました。いろいろ調べていくうちに、バージャー病患者は歯が極めて悪いこと、歯のない人も多く、歯周病に中等から高度におかされていることがわかりました。歯周病菌は、口のなかのリンパ管を通じて血中にはいり、体のあちこちで発見されていることもわかりました。さらに、決定的に病因説を裏付けたのは、歯周病菌が血小板の中に入り込んで、または囲まれて血中に生きていることを電子顕微鏡を使って証明したことです。取り込まれるだけでなく大きな血小板凝集塊を作ります。それが塞栓子として働けばバージャー病のいろいろな所見、症状、禁煙でやむ病勢などが上手く説明できることがわかりました。 静脈に、高頻度に炎症や血栓、弁不全を起こしますが、これも毛細管をくぐり抜けた菌のなせる技とすれば、上手く説明できたのです。バージャー病は、たばこを吸って歯周病を悪化させた若者が、歯周病菌を含む血小板血塊により末梢動脈閉塞を起こすことによるのであると結論づけました。


バージャー病とは

従って、バージャー病は、たばこをやめて歯周病を治し、運動療法やときに交感神経切除を行えば、スキーもできるほどに回復します。口臭がつよく、病状が急性に変化しているときは歯周病菌を長期にわたって押さえつける抗生剤(アジスロマイシンなど)が有効であろうと考えています。そしてバージャー病が、全身の小血管にも病変を起こしていることが次々と証明されています。アジア、アフリカではまだ多くの若者がこの病気により切断の悲劇に泣いています。禁煙技術の進歩と相まって、21世紀になってやっと方向の見えてきたバージャー病治療になお一層の注目をお願いします。

岩井 武尚 CONTACT
お茶の水血管外科クリニック
東京都千代田区神田駿河台4-1-1 ウエルトンビル6階
TEL:03-5281-4103 FAX:03-5281-4102
https://www.kekkangeka.com/
【水曜日AM】

認定NPO法人バージャー病研究所
茨城県守谷市立沢980-1慶友会つくば血管センター内
TEL:0297-47-9955 FAX:0297-45-4541
http://www.keiyu.or.jp/vascular/
【月・火曜日AM・PM 木・金曜日AM】

その他関係施設
総合病院土浦協同病院
茨城県土浦市真鍋新町11-7
TEL:029-823-3111(代表)
【血管外科専門外来 金曜日PM】

医療法人社団筑波記念会
筑波記念病院
茨城県つくば市要1187-299
TEL:029-864-1212(代表)
【血管専門外来 隔週土曜日AM】
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