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弾性ストッキングの着用に注意が必要な方とは

動脈血行障害のある方

下肢静脈瘤の保存的治療では、弾性ストッキングが使用されます。通常のストッキングとは異なり、医療用の弾性ストッキングは強い圧力をかける特殊な生地で作られており、下肢をしっかりと圧迫します。そのため、使用に際して注意が必要な方、あるいは着用すべきでない方もいます。例えば、動脈硬化による血行障害(閉塞性動脈硬化症など)の患者さんです。動脈の血流が滞っている状態で弾性ストッキングを使用すると、血行障害がさらに悪化するおそれがあります。

糖尿病で神経障害のある方

糖尿病により下肢に神経障害がある方も、弾性ストッキングの着用には十分な注意が必要です。神経障害があると、圧迫によって生じた発赤や皮膚への食い込みに気づきにくく、気づかないまま着用を続けることで、潰瘍や感染症を引き起こし、糖尿病性足病変につながることがあります。

深部静脈血栓症やうっ血性心不全のある方

急性期の深部静脈血栓症では、弾性ストッキングの着用によって痛みが強くなったり、肺血栓塞栓症を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。また、うっ血性心不全のある方が弾性ストッキングを着用すると、下肢から心臓への血流が増加し、心臓に過剰な負担をかける危険性があります。このような疾患がある場合は、下肢静脈瘤の保存的治療を行う際に、必ず主治医にご相談ください。


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